浅く広く学ぶ不用品とごみ
日本海沿岸に打ち上げられるハングル文字のごみ

日本海沿岸に打ち上げられるハングル文字のごみ

産経新聞社は2018年の4月19日に、同年3月2日に島根県の日本海沿岸に大量のポリタンクが流れついたという記事を配信しました。16日までに2,301個のポリタンクが発見され、2,124個が回収されたということです。

ポリタンクの多くにハングル文字が記され、その一部には強酸性の液体が入っていたことが確認されています。これには韓国ののり養殖に、違法な化学物質が使われていることが関わっていると見られています。

ポリタンクにはハングル文字で会社名が入っていました。のり養殖に使われる過酸化水素水をポリタンクで販売している会社です。
しかし当該企業はポリタンクが使い回されて塩酸に詰め替えられ、のり養殖をしている漁民が違法に使用したあと投棄したものとして自社が疑われたことに憤っています。
同社は政府にとり締まりの強化を要請するとともに、ポリタンクの回収率を上げて二次使用の防止に努めることを表明しました。

島根県の担当者によるとこの時期に韓国からの漂着物が多いのは、日本海の地形的、気候的な要因によるものだそうです。環境省のまとめでは2016年度の漂着物は20道府県でポリタンクが1万6,029個、10県で医療系廃棄物が2,089個、14道県で漁具が18万6,465個にのぼるとしています。

島根県ではポリタンクの中身を検査した上で強酸性やアルカリ性の残留物は専門家に委託し、ポリタンクは県や自治体の予算で処分しています。2021年の4月20日に夕刊フジが配信した記事によれば、2020年度に日本海沿岸の漂着ごみを自治体が回収・処分するために予算に計上した費用は、秋田県がおよそ5,400万円、福井県がおよそ5,500万円です。

自治体の漂着ごみの処分にかかる費用の負担が大きいことも問題ですが、自治体がもっとも重視しているのはポリタンクの残留物などによって危害を受ける人が出ないようにすることです。

「農薬」と書かれていてもハングル文字なので読むことができないため、ボランティアで海岸を清掃している人たちの身にも危険が及ぶ可能性があります。日本海沿岸に漂着するハングル文字のごみは、環境の汚染だけでなく自治体の経済的負担を増加させ地元の人たちにも脅威となっています。