浅く広く学ぶ不用品とごみ
ごみ処理に威力を発揮する溶融炉の技術とは

ごみ処理に威力を発揮する溶融炉の技術とは

SDGsの目標12に掲げられている「つくる責任つかう責任」でも言及されているごみ問題は、世界的に解決が急がれています。
特に日本では、世界でごみの量が一番多い国として、対策が急務です。その点で注目されているのが溶融炉です。これは、日本で開発された独自の技術で、世界からも注目を集めています。この技術を使うと、ごみ焼却場の数が世界の7割に達するといわれる日本でのごみの扱い方を一変させられるかもしれません。

溶融炉で可能になるのは、ごみの減量化とともに、ごみを無害化し、新たな原料として活用することです。
具体的に見てみると、溶融炉は工場や家庭から出されるごみを、1300度から1700度という高温で溶かすことで、最初に出されたごみの量を6パーセントにまで減らすことができます。溶融炉では、可燃ごみや不燃ごみのほかに、主に工場などから出されるガラスや金属くず、汚泥、病院など医療機関から出される廃棄物を含め、あらゆるごみの処理ができるメリットがあります。
そして、高温処理を施すため、ダイオキシンなどの有害物質の排出を極限まで抑えることが可能であるため、ごみ処理によって健康被害が出にくいのが利点です。

溶融炉で処理され圧縮されたごみは溶融スラグと呼ばれ、原料としてリサイクルされています。
使用用途としては、道路の路盤材やコンクリートの原料、タイルなどの建築資材などがあり、今後さらに活用方法の拡大が見込まれています。

では、実際に溶融炉はどれほど広く普及していくのでしょうか。コスト的な問題を考えると、今のところ、溶融炉のイニシャルコスト・ランニングコスト共に、一般的なごみ焼却炉よりも割高です。それでも、地球環境を守る取り組みとしてごみ処理問題は喫緊の課題となっているため、コストをかけてでも環境に配慮した設備の導入に積極的な自治体や企業が多くなっています。

高度成長期に建てられた従来のごみ焼却炉の耐用年数が上限に迫っているところも多いため、今後、溶融炉に置き換わる流れは加速すると考えられています。